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NASAアルテミス4で、宇宙飛行士が実施する月面探査装置として小型震源装置PASSが採用
2025.12.09
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2025-12-09-001
小型震源装置PASSと地震計をパッケージ化した地震観測・地下探査装置であるSPSS(South Pole Seismic Station)が、アルテミス4で利用されることになりました。このSPSSでは、NASAジェット推進研究所(JPL)のリードのもと、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、パリ地球物理研究所(IPGP)が地震計を開発・提供します。一方、日本からは、PASSが提供され、弾性波探査の実施を可能とします。
PASSを用いて月面で人工的に微振動を発生させ、その波動場を地震計で観測することで、着陸地点周辺の地下構造を高精度に可視化します。具体的には、表面波探査を中心に実施し、地下約5 m程度までのS波速度構造(断面図)の構築を目指します。これにより、
・月面における水資源・鉱物資源の探査
・将来の月面基地建設に向けた地盤評価
・月内部構造の科学的理解の深化
といった分野に重要な基盤データを提供できると期待されます。
PASSは、従来の地震探査機器では実現が難しかった小型・軽量・高い操作性を備えており、これまでに国内外のCO₂貯留モニタリングや地球上の土木構造物調査、地下の空洞探査などで実績を積んできました。今回のアルテミス4への採用にあたり、宇宙飛行士が月面で容易に取り扱えるよう最適化した宇宙仕様モデルを新たに開発し、真空環境、月面の極端な温度変化、レゴリスへの耐性を備えた設計を実現しています。

